特別コラム

第2回 私が読物の題材にしたいと思うネタは100本に1本あるかないか

第1回のコラムで「ネタ探しに苦しむ日々を送っている」と書きました。どういうネタを探しているかというと、日本語のメディアやサイトでまだ取り上げられておらず、今後も取り上げられる可能性が低く、なおかつ何らかのインパクトを与えてくれるネタです。

こういうネタを探して、毎日数百本の英文記事の見出しをチェックし、そのうち百本近くに一応目を通しています。(日英ともに速読が得意なので)斜め読みだけで済ますことも多いのですが、個人的に面白いのでつぶさに読んでしまう記事も少なくありません。しかし、個人的に面白くてもサイトで取り上げるのには適していない記事の方がむしろ多いので、これまた時間を取られる要因になっています。

「サイトで取り上げるのに適していない」と判断する基準は、まずアクセスを集めることのできる内容かどうか・・・という点です。最近も、「達人級のサキソフォン奏者が楽器本来の音域を超えた高音を出せるのはなぜか」を究明しようとしている研究の話をとても興味深く読みました。その研究によると、コルトレーンやロリンズのような一流サックス奏者は喉と楽器が一体化しているのだそうです。

声が通る道(声道)の太さと断面形状を無意識的に調整することにより、楽器の設計限界を超える高音を出したり、本来なら大音量でしか出せない低音域をソフトに奏でたり、2つの音を同時に出したりすることができるというのです。・・・しかし、この話をここまで読んで興味を覚える人は、あまりいないはずです。

つまり、特定分野に関心の深い人でないと興味をそそられないようなネタは取り上げる対象にならないのです。まあ、その特定分野に関心を持っている人がネット上に多数いる場合は集客を期待できるので、取り上げる対象になるわけですが、今度は私の知識が足りなくて記事にしにくいことが多くなったりします。

また、珍事件のニュースの場合でも、それを珍事件として自分が読むときには面白いが、それを題材にして読物を書こうというモチベーションが湧かないケースも多々あります。

結局、ネタ探しに苦しんでいるとは言っても、珍しい話を読み漁ること自体に苦痛を感じているわけではないのです。「ありえな〜い100選」の前書き部分でも書きましたが、私はもともと“珍ニュースマニア”です。「なんでも評点」サイトを始める前から、国内・国外共に珍ニュースの記事をネット上で読み漁っていました。

しかし“珍ニュースマニア”であることと、珍ニュースを題材にした“読物の筆者”であることは、まったくの別物です。ただ単に自分の楽しみのためだけに珍ニュースを漁っているだけなら何のプレッシャもありません。でも、人に読んでもらう記事を書くとなると話は違います。少なくとも私の性質上、あまり期待を裏切りたくないというのがあります。だから、適切なネタがなかなか見つからないと苦痛を覚えてしまうわけです。

ネタ探しを日夜続けていても、取り上げるネタは100本に1本あるかないかです。なんだかもったいない気がしないでもありません。世界の珍ニュースを一度に何本も短く取り上げるサイトを別に立ち上げようとしたこともあるのですが、意外と労力がかかることがわかり断念した経緯もあります(そういう場を与えてもらえるという話があるなら真剣に考えます)。

というわけで、「ありえな〜い100選」には血眼になって探してきた珍ネタを快心の読物に仕上げることができた記事100本が厳選されていると謳わせてください。最初は記事を200本ほど選ぶつもりでした。しかし、200本だと本が分厚くなりすぎることがわかりました。そこで、半分の100本ということで落ち着きました。

ということは、書籍に収録してもよいネタ&読物がまだ少なくとも100本は眠っているということになります。しかも、この200本にしても、あくまで「なんでも評点」のコンテンツの半分から選ばれたものであることを補足しておきましょう。

「なんでも評点」のコンテンツは、“珍ニュース系”と“サイエンス/リサーチ系”の2系統に分かれています。「ありえな〜い100選」には主に前者の記事を収録しました。後者については、例外的に「超人は実在する」と「貧乏は遺伝する」の2つの記事だけを収録しました(“サイエンス/リサーチ系”に関しては、テクニカル系のトランスレータ&ライターとしての私のバックグラウンドがかなり活かされていたりするかもしれません)。

“サイエンス/リサーチ系”の記事を収録しなかったのは、どうせ書籍化するなら、それぞれの話にもっと関連性を持たせたり、個々の記事の内容をブラッシュアップしたり、もっと具体的なたとえ話を加えたりしてから本にしたいという思いがあったからです。「ありえな〜い100選」が成功すれば、これらの話もきっと書籍化されることになるでしょう。

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『なんでも評点 世界のありえな〜い100選』公式サイト